板橋区の健康福祉センターでは、1歳半健診で発達に気になる様子が見られた児に対して相談支援を行い、再度2歳時点で発達の様子を確認しています。
その際に、発達の気がかりが見られた児のフォローアップ教室として、『のびのび遊ぼう会』という支援事業を行っていました。
発達に気がかりのある親子を対象とした月に1回の集団親子遊びの会です。参加できるのは2歳以上で3歳になるまでのお子さんで、継続期間は最長で半年まででした。
この遊びの会の卒業後、幼稚園や保育園入園まで期間がある場合に紹介できる遊び場が少なかったため、当時、健康福祉センターで遊びの会を担当していた新井が、完全に個人でボランティアにより親子遊びおいでおいでを始めて、行き場のない親子を受け入れることにしました。
また、1歳半で気がかりが見つかっても2歳0カ月までは遊びの会に入れず待たなければならなかったので、遊びの会利用前のお子さんも積極的に受け入れるため、おいでおいでの対象年齢は1歳~未就園のお子さんまでとしていました。
こういった経緯で、親子遊び広場おいでおいでは2017年の2月に発足し、同年4月より板橋区社会福祉協議会の福祉の森サロンに登録し、使用料や活動費として助成金をいただいて活動してきました。
その後、コロナ禍になり、健康福祉センターの遊びの会は中止、コロナ禍が過ぎても再開することなく事業自体がなくなってしまいました。
健康福祉センターの遊びの会から移行してくる親子がいなくなったこと、現在は児童館で行っている発達に気がかりがあるお子さんの遊びのグループも利用ができるようになったこと、少子化、低年齢からの保育園に入園しやすくなったこと等から、近年はおいでおいでの利用者も少ない状況が続いています。
・時間:10:30~11:15から、15:00~16:30へ変更
・活動内容:親子遊びメインから、親子遊びと親子の居場所メインに変更(相談も可)
・参加費:無料から、1回300円に変更
おいでおいでの発足当初から参加してくれている子どもたちは、今年で小学4年生となりました。
就園・就学すると、園や学校以外で、発達に気がかりのある子どもにとっての安心できる居場所や、保護者が相談できる場所の確保が難しくなります。
そこで、園や学校から帰ってきた後にホッと一息できるような場所としてリニューアルすることにしました。
また、コロナ以降の参加者の減少により助成金の額が減った事(ここ数年は、場所代を賄えないため、年の半分は公園で遊びを実施していました)、2025年4月から板橋区の施設利用料の改定により完全に場所代を賄うことが難しくなったことを理由に、参加費を集め、場所代として充てさせていただくことにしました。
主催者である心理士の他に、保育士、助産師、作業療法士の方々へも協力を依頼し、相談の充実も図ることで参加者にメリットを還元していけるよう考えています。
①子どもの身体、手先、心を動かす
子どもは身体をいっぱい動かすことで心が動きやすくなります。楽しい、面白い、嬉しい、すごい、できた!など豊かな感情を体験してもらいたいと思っています。そして、それを親子で共有することが大事だと思っています。だから保護者にとっても安心して子どもと一緒に楽しめる雰囲気であることが重要です。
また、子どもは身体をいっぱい動かすと、その後に、落ち着いて集中して取り組みやすくなります。この遊びの中で『動』と『静』をバランスよく組み込むことで、落ち着きがないと言われるタイプのお子さんも、座って手先を使った遊びに集中しやすくなります。身体や手先を様々に動かすこと、そして心が動くことは、脳の発達にとって良い刺激になります。
②子どもの遊びを広げる
発達に気がかりがあるお子さんは、遊びが広がりにくい場合があります。自宅では、いつもお気に入りのおもちゃで、一人で、いつも同じ遊び方をしていることもよくあるでしょう。
おいでおいででは、おうちにある物を使って様々な遊び方を紹介するようにしています。もし、子どもがおいでおいででやった遊びを気に行ってくれた時に、おうちでもすぐにできるようにするためです。おいでおいででの1回の遊び体験が、子どもにとっての遊びを広がるきっかけになるようにと思っています。
また、一般的な集団遊びの場に比べて、遊びをスピーディーに展開していくことで、どの子も飽きさせずに、自分に合った楽しみ方を見つけてもらえるようにも工夫しています。気に入った遊びは、是非おうちでじっくり取り組んでみてください!
③保護者に子どもの良い面を見てもらう
発達に気がかりがある保護者は、他の子と比べて我が子が「できない」という経験をたくさんしてきている場合があります。
そのため、一般の同年齢集団には通いづらくなってしまうこともあります。
おいでおいででは、遊びの内容や展開を工夫することで、必ずどの子も「楽しい!」「できた!」を経験できるようにしています。
「できない」が発生しないように、できるだけ明確な遊び方を指示しないようにしています。それぞれが好きなように遊びを展開して大丈夫です。どんな楽しみ方もありです!
また、せっかく遊びに来たのに、「ダメ!」と子どもを怒るような場面が発生しないように、触ってはいけない物は見えないようにする、子どもを待たせる場面を作らないなどの工夫もしています。
みんなで同じ遊びに取り組んでいるように見えても、実際にはそれぞれの子どもが楽しめるポイントが違ったりするので、それぞれの子どもに合う楽しみ方が見るかるように遊び方の工夫を提案したり、子どもが楽しめているポイントを言語化して保護者の方にお伝えしたり、子どもの小さな反応や成長を見逃さずに保護者にフィードバックしています。
おいでおいでに来たら、絶対に保護者をがっかりさせない!ということをモットーにしています。
④保護者が味方とつながれるように
発達に気がかりがあると、つい様々なことが不安になりがちです。日常生活の中でうまくいかないことをたくさん体験し、子育てに自信をなくしたり、ダメ出しされそうで相談するのも怖くなってしまうこともあるかもしれません。
でも、子育てで一番大切なことは、『正解探し』ではなく『味方探し』です。子育てに正解はありません。そして、子どもの発達の困り事はすぐには解決しないことがほとんどです。だから、信頼できる子育ての味方と一緒に、その都度、我が子には何が必要かを考えていくことが大切なのです。信頼できる子育ての味方をできるだけたくさん見つけて、みんなで育てる意識を持つことが安心の秘訣です。保護者が安心して子育てを楽しめることは、子どもにとっても大事なことです。
一昔前に、『会いに行けるアイドル』が流行ったように、おいでおいでには『会いに行ける発達の専門家』がいるような状態を目指していきたいと思っています。不安なこと、ちょっと気になること、わざわざ相談を予約していくほどでもないけれど・・・、小さな気がかりが大きな不安に変わる前に、ぜひ私たちと繋がって欲しいと思っています。
また、保護者同士で悩みを話し合う、聞き合う体験も大切にしていきたいです。人は、自分一人じゃない、仲間がいると思えることで、がんばれることもたくさんあるからです。
月に1回、金曜の午後、親子でおいでおいでに遊びに来て、ホッと安心してもらえたらいいな。そして、またがんばっていこう!と元気をもらえるような居場所になったらいいなと思っています。